知らないうちに「歯ぎしり」していませんか?

人は無意識のうちに歯ぎしりをしていることがあります。歯ぎしりを「ただの癖」と軽く考え見過ごしてしまうと、顎関節症や大切な歯の崩壊など身体への悪影響を招くことになりかねません。

歯ぎしりに気づいていない?多くの人がしています!

成人の約8割程度が、歯ぎしりやくいしばりをしているといった調査があります。しかし、歯ぎしりをしている人は、それまでに「自分が歯ぎしりをしている」という意識がまったくなく、周囲の人に言われて初めて認識するといったケースがほとんどです。

歯ぎしりは、普段の生活からは考えられないほどの強い力を歯や周辺組織にかけています。歯がすり減るだけでなく、歯が割れたり欠けたりすることすらあるのです。また、歯ぐきに炎症を起こすなど歯周病を悪化させることもあるため、注意が必要です。

歯ぎしりが招く身体への悪影響

歯ぎしりによって引き起こされる身体の症状には次のようなものがあります。

  1. 1.歯の咬み合う部分が削れる
  2. 2.肩こり・頭痛
  3. 3.顎関節症
  4. 4.口腔内の違和感や痛み
  5. 5.歯がグラグラする
  6. 6.知覚過敏

歯ぎしりの種類

歯ぎしりには3つのタイプがあります。これらが単独で生じている場合と、いくつかが複合的に重なって起きている場合が考えられます。

グラインディング
就寝中に歯をこすり合わせるタイプ。独特の音がするため、周囲の人も気づきやすい歯ぎしりです。歯の摩耗を起こしやすくなります。
クレンチング
就寝中だけでなく、日中も常に歯をくいしばっているタイプ。音がないため、本人も周囲の人も気づきにくいのが特徴です。継続すると歯の摩耗やヒビだけでなく、歯ぐきなど歯周組織にも悪影響が及びます。
タッピング
カチカチと歯を鳴らすタイプ。グラインディングやクレンチングと比べて、自身で気づきやすい癖です。そのため、発生する割合が低いと考えられています。
日中の「かみしめ」について

歯ぎしりによる口腔内のトラブルを防ぐには、ご自身が意識的に気をつけることが大切。とはいえ、眠っているときにご自身で気をつけるのはなかなか難しいもの。まずは日中、何気ない「かみしめ」が強くなっていないか気をつけましょう。

歯ぎしりの治療について

マウスピース療法
  • 装着前
  • 装着後

マウスピースを製作して就寝時に装着していただきます。歯ぎしりやかみしめの力を緩和し、口腔内や顎関節にかかる負担を軽減します。マウスピースは保険を適用できますので、お気軽にご相談ください。

咬み合わせの調整

物理的に咬み合う歯の部分に偏りがないか検査し、必要であれば高さを調節します。咬み合わせについては、効果が実感できるまでに時間がかかることもあり、一度バランスを崩すと元に戻るまでが大変ですので、どうしても必要と考えられるときにのみ、しっかり検査・診断をしてから行います。

いびきをかいていませんか?~睡眠時無呼吸症候群~

睡眠時無呼吸症候群について

睡眠時無呼吸症候群(「SAS[サス])」とも呼ばれる)は、就寝中に呼吸が浅くなったり弱くなったり、呼吸が止まってしまう疾患です。特徴的である症状がいびきや日中の強い眠気、倦怠感などです。これらの症状は日常生活へ支障をきたすだけでなく、循環器の疾患にも深く関係していることがわかっています。

SASの症状

就寝時

いびきをかく
何度も目が覚める
何度もトイレに行く
寝汗をかく・寝相が悪い

日中

強い眠気が続く
倦怠感や頭の重さがある
集中力や記憶力が落ちる

SASは、無呼吸や低呼吸が1時間に何回起こるかを測ることで、その重症度が診断されます。気になる症状があるようでしたら、一度、病院で検査を受けてみることをおすすめします。当院では検査設備を持つ連携医療機関をご紹介しております。

睡眠時無呼吸症候群のためのマウスピース

SASの原因としては、顎や舌が下がることで就寝中の気道がふさがってしまっていることが考えられます。当院では、「スリープスプリント」というマウスピースを使った治療を行っています。装着することで下顎が少しだけ前方にずれた咬み合わせになり、就寝時に顎が下がることを防ぎ気道を確保できます。初めは違和感があるかもしれませんが、気長に使用することで徐々に慣れていきます。

健康な場合

気道は十分に開いています。

いびき症や閉塞性睡眠時無呼吸症候群

  1. ①軟口蓋が厚く長い場合
  2. ②骨格に対して舌が大きい場合
  3. ③肥満などで舌が大きくなった場合
  4. ④ ①~③の複合       など
    舌が沈下して気道を塞いでしまい、呼吸が
    妨げられます。
オーラルアプライアンス(ORAP)を入れると…

ORAPで下顎を前に出すことにより舌も持ち上がります。
そのため気道が広がり呼吸がしやすくなり、
無呼吸が無くなり、いびきもかかなくなります。
また無呼吸に伴う微少覚醒が減少し熟睡感の
向上につながります。
※AHI20以上の方は、基本的にCPAP療法が第一選択となります。
また、重症度により改善度は異なります。

睡眠時無呼吸症候群が軽度であると診断されても、患者さんによっては睡眠時や日中の症状がつらいことがあります。そういった場合に、スリープスプリントを試してみると効果が見られることがあります。

院長 吉田からのメッセージ

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